出逢う

良寛と和島

良寛(りょうかん、1758年11月2日 – 1831年2月18日)は、越後出雲崎に生まれ、各地での修行を経て故郷へ戻った僧侶・歌人・書家です。国上山の五合庵などで暮らしたのち、晩年は和島の島崎にある木村家に身を寄せました。良寛が暮らした木小屋は残っていませんが、現在はその場所に「良寛禅師庵室跡」の石碑が建てられています。

この木村家で、良寛は若い尼僧・貞心尼と出逢いました。ふたりは和歌を交わしながら交流を深め、良寛が亡くなるまで師弟として心を通わせました。そのやりとりは、のちに貞心尼によって歌集『蓮の露』にまとめられています。和島は、良寛の生涯の終わりの地であるとともに、良寛と貞心尼の物語が生まれた場所でもあります。

木村家から道の駅「良寛の里わしま」へと続く道は、現在「はちすば通り」と呼ばれています。沿道には、良寛と弟・由之の墓碑がある隆泉寺、良寛が子どもたちと遊んだと伝えられる宇奈具志神社、高弟・遍澄の墓碑がある妙徳寺などが点在し、歩きながら良寛の足跡をたどることができます。

なかでも隆泉寺は木村家の菩提寺であり、その墓地には良寛の墓が今も静かに残されています。良寛が暮らした場所、歩いた道、そして眠る場所が近い範囲に残されていることは、和島ならではの特徴です。毎年、地域の人々によって史跡の清掃や墓前法要も行われ、良寛を大切にする営みが現在まで受け継がれています。

道の駅に隣接する良寛の里美術館では、良寛と貞心尼の書や詩歌を中心に紹介しています。美術館ゾーンには、ふたりの出逢いと交流にちなんで設けられた「出逢いの庵」もあります。まず作品に触れ、それからはちすば通りを歩いてみるのもおすすめです。書や歌の向こうにあった暮らしの場所を実際に巡ることで、良寛という人をより身近に感じていただけます。